ライフコーチング やカウンセリンを受けられる方は、さまざま思いを抱えてはじめてのセッションを受けにいらっしゃいます。一番はじめのセッションで、ほとんどの方に共通しているのが「モヤモヤした気持ち」や「何かを変えたい・変えなければならないという思い」です。
その後、セッションを重ねていくうちに見えてくるのが、過去からのしがらみや、傷ついた思い。世間一般の「常識」や周りの人たちの意見に影響を受けすぎて、自分自身を見失っていることが分かってくる場合もあります。
ときには子供の頃に影響を受けた、両親や周りの大人たちの価値観や考え方が、大人になった現在の自分を窮屈にしていることが見えてくることもあります。そのことが見えてきたあたりから、自分自身の内側を見つめていく、ディープな作業が始まります。
モヤモヤや変わりたい気持ちの背景には、「もっと自分に自信を持ちたい」という思いがあります。自信をつけるために外見的な条件を整えることはもちろん助けになりますが、でも本当に揺るがない安定した自信感を育てていくには、やはり自分自身を見つめて、考え方や価値観、過去からのしがらみなどを整理していく作業が不可欠です。
そして、少し時間をかけながらこのような自分自身の内側を整理する作業をしながらも、最終的には今現在の「ありのままの自分を受容し、肯定的に受けとめること」をトレーニングしていくことが、個人的にはコーチングのプロセスの中でもっとも大事にしていることです。これを、「ありのままの自分自身に快適であること」と言っています。
ありのままの自分自身に快適であることは、自分に安定感のある自信感を持つ秘訣だと感じます。自分を買いかぶるのでも甘やかすのでもなく、または厳しく辛く当たるのでもなく、ありのままを受けとめます。簡単なようで、なかなかスキルのいるワザなのですが、ありのままの自分自身に快適であるようになると、自分自身の思考のクセやパターンに気づくことができ、そして自分の感情の流れを少し客観性を持って見つめることができるようになってくるので、自分自身との付き合い方が変化して、人生で起きることをどう受け止めるかが大きく変わっていきます。
また、ありのままの自分自身に快適な状態では、人と自分をネガティブな視点から比べることがなくなるので、他人と自分を比較するときには、ヤキモチなどの気持ちではなく、自分へのインスピレーションとして捉えることができます。人は本来、「自分らしくあること」を目指していくべきであり、そのために個性を持って生まれてきていると言われています。他の誰かになろうとするのではなく、自分の個性を理解して発揮することで、小さなことから大きなことまで世の中に貢献していくことができるようになるわけです。「人のふり見て我がふり直せ」とはよく言ったもので、これはネガティブな意味合いではなく、人と自分を比較することで、自分がどうありたいかのインスピレーションをもらうことができるということだと思うのです。
そして、これはもっとも重要なことだと思うのですが、ありのままの自分に快適である状態で立てた目標やゴールは叶いやすく、実現しやすい傾向があります。なぜなら、ありのままの自分を受け止めた状態で思い描く未来は、本来の自分の個性と運命に寄り添ったものだから。誰かに羨ましがられるため、または他人を納得させるために設定した目標やゴールではなく、本当に自分がたどり着きたい場所・状態などのイメージを描けるようになると、ワクワクする気持ちやエネルギーも自然と湧いてきて、周りからのサポートや思いがけないチャンスもやってきやすくなります。この状態では潜在意識（無意識）の力も加担して、余計な遠回りをせずに、自分の目指す場所へと向かっていくことができるようになるようです。
人生をどう生きるのかは結局は自分次第なのだという原点に戻ると、やはり自分ありき。自分の心持ちが重要ですよね。過去からの傷や余計な思い込みに気づき、自己受容して、そして人生や宇宙のミステリーを謙虚な気持ちで受け止めつつも、ワクワクしながら自分の人生の冒険を楽しんでいる状態が理想。そんな心持ちで生きていれば大丈夫。
ありのままの自分自身に快適である人が増えると、お互いの個性を尊重しあえて、もっと生きやすい世の中になっていくのだろうと感じます。出る杭を打たない。お互いの個性をどんどん引き出し合う。そういう人が集まる場所は、ポジティブな雰囲気のため、面白いことがよく起こる環境のようです。
叶えたい目標や理想の自分など、皆さんそれぞれにいろんな思いを抱えていらっしゃいますが、まずは今ここに意識を集中して、現在の自分自身を見つめるスキルを習得することは、自分らしくいきていく上でもっとも重要なことの一つで、ライフコーチング の目指す場所だと、改めて感じています。