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前世療法:空を飛ぶAさんのケース

Updated: Aug 18, 2023


ヒプノセラピーをされるクライアントさんは、リラクゼーションや前世療法、中間世セラピー(Live between Lives®)を希望して受けにいらっしゃることが多いです。

潜在意識に重点が置かれるこれらのセッションでは、クライアントさんだけでなく、セラピーをするこちら側も驚くような発見があり、毎回感動しています。

今回は最近の前世療法のケースの中から、Aさんというクライアントさんのストーリーを、本人の許可を経て掲載させていただきます。

Aさんは39歳の女性。前世療法は以前に何度か体験したことがありますが、これまでのセッションではあまりリラックスできず深く催眠にかからなかったり、または前世の途中で目が覚めてしまったりなどで、最後までスルーで体験したことがないとのこと。今回もちゃんと体験できるかな?と不安そうでしたが、自分のスピリットガイドと対話がしてみたいという強い希望を持っていらっしゃいました。

Aさん、まずは前世での最初のシーンでは空を飛んでいます。暗い夜の空とのこと。空の下には海辺の街並みが広がっているようです。「何か乗り物になっていますか?」と質問したところ、そういう感じはしないそう。本人は、「鳥なのかな?よく分からない。」と、不安そうにつぶやきます。かなりのスピードでビュンビュン空を飛んでいるとのこと。自分に羽がついているか聞いてみたところ、そういうものはなさそうだということで、一体何者なのか、全く分からずにどんどん質問していきますが、「感情がない気がする。形もない。人間ではないかも。」と、Aさん。ただ分かっているのは、何かを探しているような感じで、すごいスピードで空を飛んでいるのだということ。

何を探しているのかわからないまま、次のシーンへと進んでみることにします。

すると、くたびれた革の靴を履いた、50代の男性である、自分の姿が見えてきます。町の中を、隠れながら自宅へ向かっているとのこと。何かから逃げている様子。自分の職業は教師で、妻と、娘が二人、そしてその下に息子もいると言います。レンガの建物、そして町全体が暗い雰囲気に包まれているとのことです。逃げて隠れて疲れている、とのこと。その他諸々の説明からも、本人の疲労した’様子が伺えます。

次のシーンでは、少し若い年齢へと遡ります。奥さんが、初めての子供を出産するシーンです。「妻が子供を産んでくれた。」と言うAさん。すごく幸せそうです。奥さんは自分の人生を豊かにしてくれる女性だとのこと。内向的な性格の自分とは違って、いつも明るく社交的なのだそうです。家の庭には彼女の植えた花が咲き、アットホームな家にはいろんな人が集まるそう。子供が生まれたお祝いにも、赤ちゃんを見るためにたくさんの人たちがやってきているそうです。とても幸せそうです。ちなみに、Aさんの今世でのご主人が、この時の奥さんのイメージとかぶるとのことで、同じ魂なのかもしれないとのことでした。

「守るものができた。」と、とても嬉しそうに語るAさん。「愛がたくさんある。」「この家族を大切にする。」と言い、その幸せそうな表情から強い決心が伝わってきます。

そして次のシーン。

再び、50代に戻ります。家の中で、地下のような場所に家族みんなで隠れているます。上の娘たちは10代。そして息子はまだ幼く、なぜ自分たちは隠れなくてはならないのか、この危険な状況をわかっていないのだと言います。純粋無垢な息子に、妻と二人で、見つからないように静かにするように懸命に伝えているのだと説明するAさん。

この辺りから、状況が少しずつ分かってきました。どうやらナチス・ホロコーストの頃のような時代背景です。「見つかって捕まるかもしれない。」と言うAさん。そして、ついに家の中に兵士たちが入ってきます。もう見つかるのは時間の問題—。

そして次のシーンでは、家族を連れて行こうとする兵士に抵抗したAさんは一瞬にして銃殺されます。「あ、撃たれた。」とのこと。すぐに魂が体から離れていきます。自分の遺体だけを残して、家族は兵士たちに車に乗せられて連れて行かれていく様子。

「だめ、守らなくちゃ!一緒に行く!」とAさんは強く言いますが、魂が体からど離れて、何かから、上方へ引っ張られるかのように浮いていくのだそう。「行きたくない!まだ行くわけにいかない!」涙を流しながら必死で抵抗しているようです。Aさんの家族への愛情と、あまりに辛そうな様子を感じて、私までホロリと涙してしまうほど。

でも、上から引っ張られる力は強いようで、しばらくすると、「空を飛んでいる。家族を探している。でも、こんなに高いところにきてしまって、もう家族がどこにいるかを見つけることができない。でも見つけなくちゃ。」と悲しそうに言います。

そこで、最初に見えた、空を飛んでいる場面が、この死んだ直後のシーンとつながっているのだということに、私もAさんも気がつきました。

しばらく飛び続けていたようでしたが、実はすでにお迎えがきているとのこと。「もう終わったんだよ。」と言われたそうです。まばゆい光に迎えられて、さらに上へと上昇していくAさんの魂。

たどり着いたのは、雲の上のような不思議な場所。そこで、クマのぬいぐるみのような、アヒルのような、何か不思議な生き物が踊っています。さっきまで辛くて大泣きしていたAさん、急にクククッと小さく笑いだします。「一緒に踊ろうよ。」と言われたそうで、一緒に雲の上でクルクルダンスをします。

そんなことをしているうちに、先ほどの辛い人生での重たい感情やエネルギーが、みるみると浄化されていきます。

ダンスが終わると、教室のような部屋へと入っていきます。その部屋には、髭の生えた賢者のようなイメージのおじいさんが机に座って待っていたそう。この方はAさんのスピリットガイドだそうで、イメージとしては、ロードオブザリングのダンブルドアのような姿だとのこと。白いガウンを着て、杖を持っていて、優しい目をしているそうです。

ここから、ダンブルドアとAさんの会話が始まります。この前世では、「愛を体験すること。守り育てること。」が目的だったそう。それについて、よくやったと褒められるAさん。「愛は大事だろう?」と語りかけてくるダンブルドア。そして、「お前はそのことをすぐに忘れる。愛を忘れてはいけない。」と言われます。

これからのAさんの人生のテーマは、“自分の中に愛を育てること”だそうで、これまで自分が十分に学んできたことを認めたうえで、「自分を愛して癒すことに集中しなさい。」と言われます。「自分に愛情をかけられるようになりなさい。大事なのは自分だ。」また、「恥ずかしさを捨てて、もっとワクワクして、人生を楽しんでいいのだ。」と言うことも伝えてきます。そして再び、「愛は大事じゃろ。」となんども言われていらっしゃいました。

ちなみに、Aさんのこのダンブルドアは、Aさんと語り合うとき、姿を小さくしたり大きくしたり、時にはクルクルと踊ったりしながら、ユーモラスにAさんに語りかけていたようで、Aさんは、スピリットガイドのユーモアに驚いていました。

いろんな前世療法ケースを見て気づくのは、シリアスな人生を送った人ほど、ガイドとの再会は笑いのある形で行われることが多いです。「人生シリアスになりすぎなくていいよ。」そんなメッセージも、いろんな方のセッションで聞くことがあります。

Aさんは、他にも、日常生活のアドバイスを受けていました。たとえば、アファメーションを実践することや、霊気を日常的に自分に取り入れること、体を軽く動かす運動をすること、近い将来に子供を持つこと、そして今後の仕事など。最後に、何年か前に他界した家族の愛犬に再会したりしたAさん。最後まで、「愛を忘れるなよ。」とダンブルドアに言われ、そして「メディテーションを実践することで、日常的にも自分ともっとコンタクトが取りやすくなる。」と言われ、セッション終了です。

目覚めたとき、本人の感覚ではセッションの時間は1時間半くらいかな?と思っていたそうですが、実は4時間近くにのぼるセッションだったと知り、驚いていらっしゃいました。

そして、、、セッションの後にAさんに起きたことが興味深かったので、追記しておきます。

私がヒプノセラピーのために借りている事務所は、サンフランシスコのMOMAという近代美術館から徒歩7、8分くらいの場所にあるのですが、Aさんはセッションの後にこの美術館に寄ってみようと計画していました。でも、思いのほかセッションが長引いたため、美術館で過ごせる時間は閉館時間までわずか1時間ほど。それでも、せっかくここまで来たのだからと、思い切って美術館に出向いたAさん。館内をゆっくり見て回る時間はなかったので、気になる作品だけを見るようにして早足で鑑賞していたところ、ある展示室に入った瞬間に目にとまった絵画に、体が凍りついたそうです。

それは、前世療法で、前世の自分が隠れながら逃げていた時に見た風景を、まるでそのまま巨大な絵画にしたような作品でした。

絵画はこちら。

この絵画のタイトル、” Sulamith"は最初は何のことだか分からなかったのですが、調べたところ、ヘブライ語で「平和」という意味とのことで、実は偶然にもナチス・ホロコーストの犠牲者たちに捧げる意味合いで描かれた作品なのだそうです。

この絵画の作家、アンゼルム・キーファーはドイツ人。ドイツの歴史をありのままに伝えること、そしてとくにナチス・ホロコースト時代をテーマにした作品を巨大な絵画にすることで有名な画家として活躍されているよう。

Aさん、まるでセッションで受け取ったメッセージの受信が、セラピーが終わった後も続いているような、偶然ではない何か不思議な力を感じて、改めて前世療法の体験が深まったとのことでした。

このような感じで、前世療法を体験した方には、「さっきの経験は作り話でも、ただの偶然じゃないよ。」とでも言わんとしているかのような出来事が起きることがよくあります。そして、クライアントさんからそういう報告を受けると、セラピストとしてもとても嬉しく思います。

前世療法で見た前世が本当なのかどうかということは、私はさほど気にしたことはありません。それより重要なのは、自分が体験したこと、得た気づき、自分の魂がこれまでも、そしてこれからも何度も異なるスペックでいろんな生を体験していくのだと感じることなのだと思います。すると、現在の今世の自分が、あえてこの身体・環境を選び、この自分のスペックでできるユニークな体験をしにきたのだということを、思い出すことができると感じます。

長くなってしまいましたが、最後に。。

魂の自分にかえったときに感じる、無限の愛や限りなく広がっている可能性のエネルギー、そしてワンネスは、「自分が何か大きな力に見守られている」という素晴らしい体験だと思うので、セッションが終わった後もクライアントさんがそのことを忘れずにいてくれたらと思います。きっとクライアントさんのスピリットガイドもそう思っているからこそ、このようなシンクロニシティーを送ってくるのでしょう。

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