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死ぬ瞬間 エリザベス・キュブラー・ロス


メキシコでのカンファレンスが無事に終わり、自宅に戻ってきました。10日間の滞在中に携帯電話をなくしてしまうというトラブルに見舞われてしまいましたが、それ以外は順調に進み、とても有意義な体験となりました!上記の写真は、現地に住む参加者の方が作ってくださったドリームキャッチャーのアートです。会場の入り口に飾らせていただきました。

オーガナイザーとして、参加者の方々がいい体験をしてくれるように仲間とともに奮闘し、また自分自身もトークやワークショップをさせてもらい忙しく動き回りましたが、素敵な方々との素晴らしい出会いを経験し、体は疲れていますが魂は栄養をもらって元気いっぱいの状態です。

今回のカンファレンスで招待した特別ゲストは、「死ぬ瞬間 - 死とその過程について- 」の著者、エリアベス・キュブラー・ロス博士のご子息で、エリザベス・キュブラー・ロス財団の創始者でもあるケン・ロス氏でした。「母の残した功績」という講演をしていただき、死についての向き合い方を考えるディスカッションを行いました。

エリザベス・キュブラー・ロスといえば、死の受容プロセス(5段階モデル)がとても知られています。

死の受容プロセス

1:否認と孤立

自らに死が迫っていることを否定する。「何かの間違いに違いない」と感じる。

2:怒り

死の可能性が否定できないものだと知り、「なぜ死なねばならないのか?」と感情的になる。怒り、焦り、羨望、恨みなど感情が高まる。

3:取引

奇跡を信じて、行いを改めたり誓いを立てたりする。

4:抑うつ

喪失感が強くなる。

5:受容

死への抵抗が弱まり、強い感情がなくなる。その時がきて解放されるのを待つ。

上記の5段階以外にも、ロス博士は心理的な移り変わりとして、1の前にまず「衝撃」があり、そして5の後には「希望」を加えています。(細かく分けると実は5段階ではなく7段階です)

この段階は、あくまで一つのモデルであり、実際に死の告知を受けた方、または自身の死期を認識した人は、1から5までの段階を順番に登っていくというよりも、それぞれの段階を行っりきたりすると言われています。また、5の受容が必ずしも辿り着く場所(または目指す場所)であるというわけでもないようです。エリザベス・キュブラー・ロス博士の最期に看病し看取った息子さんロス氏の話を聞いても感じたのですが、もし目指す場所というのがあるとすれば「希望」なのではないかと感じます。というのも、博士はこのテーマを突き詰めていくうちに死後の世界の存在を強く意識するようになり、死を終わりとしてとらえるのではなく、”transition (移行)”として捉えるようになってゆきました。Transition (トランジション) とは、肉体を持っていた世界から、肉体を離れて魂の世界への「移行」という意味です。死を終わりではなく移行として捉えたとき、そこにはさらなる旅路への希望が芽生えてきます。

博士は、死期を迎える前にオプラ・ウィンフリーと対談をしていますが、その時、オプラからの「向こう側に行ったら、こちらにサインを送ってくれる?」という質問をされ、「体をつまんで知らせるわよ。」と冗談めかして言っておられました。実際にそれが起きたのかについて、ご子息のロス氏はその後オプラ・ウィンフリーと話していないからわからないと言っていましたが、ロス氏自身は、エネルギーとしてのお母さまの存在を感じ瞬間が現在でもときどきあるのだと話していらっしゃいました。

死は誰にでも訪れるもの。

大きな存在とつながっていた古代の人々や、さまざまな土地にあった原住民文化(たとえばネイティブアメリカンやアボリジニなど)には、死をトランジションとして捉える習慣が備わっていたため、死に対する向き合い方が現代人よりも成熟していたようですが、いつからか人は死を終わりと捉え始め、恐怖を抱くようになりました。

思いがけず突然に死を迎える人もいるわけなので、もし死について考え、きちんと準備できる機会があるのであればそれはある意味とても贅沢なことなのではないでしょうか。

そして、死について考えるということは、どんなふうに死んでいくのかということよりも、どんな風に生きていきたいのかということを考えることだと言えます。1000人の人がいれば、1000通りの生き方があり、1000通りの人生観があります。

自分らしい生き方をして、この世界にきた目的を思い出し、やるべきことをやってゆくこと。死について考えると目的意識が高まり、どこからともなく力がみなぎってくるような気がしてしまうのは、私だけ?

ただ生きていると、時間はただ過ぎてゆき、ひたすらに続いていくような錯覚をしてしまうこともありますが、ゴールを意識した途端に人は意識をシフトして、「今を生きること」に力を注げるような気がするのです。

死は誰にでも訪れるものだからこそ、生を意識して、自分だけの人生を自分らしく生きていくために、創意工夫して毎日を過ごしていきたいと感じます。

エリザベス・キュブラー・ロス博士、かなりワイルドで楽しい方だったそう。息子さんとしては、お母さまから人生を面白おかしく冒険して生きていくことを学ばされたとのことで、現在は財団の活動以外にも、写真家として世界中を飛び回る生活をなさっています。

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