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ヒュッゲの国へ 幸せなライフスタイルって?


以前にデンマーク人の暮らし方、ヒュッゲについての本を読んでから、デンマークを訪ねてみたいとずっと思っていました。その想いかなって、先日、デンマーク出身者と結婚した友人の結婚式があり、コペンハーゲンに行くことになりました。

まず、ヒュッゲとは?

ヒュッゲとは、デンマーク人が大切にしている、「人と共有する時間、そして心地よい空間」のこと。言葉にすると難しいけれど、しいて言えば「キャンドルライトの灯りで飲む、暖かいココア」みたいなものだそうです。先進国の中で国民幸福度がトップクラスのデンマーク人は、家族や友人たちと楽しい時間を共有することや、無理してストレスを溜めない生活の仕方が自然と身についているそうです。

特に日照時間の短い冬には、空がグレーで鬱々とした気分になりがちな北欧。そんな気分をできるだけ和らげるために、家や職場の空間を居心地よくして心を穏やかに暖かく過ごすことを大切にしています。日本人にも人気な北欧ミッドセンチュリーと呼ばれるデンマークデザインの家具たちも、居心地よい空間づくりのために生まれたもの。デンマーク王室が認定している工芸品にも、ロイヤルコペンハーゲンだけでなく、木を使った温かみのある小物や、シンプルだけどデザイン性の高いキャンドルホルダーなど、心地よい空間を作るためのおしゃれ度の高いインテリアグッズが多くみられます。

無駄が少なく、シンプルにおしゃれ。インテリアだけでなく、街ゆく人々のファッションからも、小ぎれいではあるけれど無駄に着飾る感じがありません。コペンハーゲンでは一人当たり1日最低3キロ自転車に乗っていると言われているほど自転車人口が高いのですが、実際にスカート姿でスイスイと(かなりのスピードで)自転車を漕ぐ女性たちの風景には感心してしまいます。

※ヒュッゲについての参考図書は、記事の最後に添付しておきます。

本当に幸福度が高いのか?

限られた滞在期間、できる限り地元の人と触れ合い、ライフスタイルについて調査してみました。まず、「みなさん幸せそうですよね。」という問いに対して、私が会った方々はほぼみなさん、自分たちが幸せでストレスが少ない国民であることを自覚されているようで、肯定的に自分たちが幸せ度が高いことを認めていらっしゃいました。

街の中では、ちょうど時期が夏だったこともあり、ここぞとばかりにアウトドアの時間を楽しむ人たちが多く、公園ではピクニックに勤しむ人たちや、道端でもただ座ってお喋りしながら日光浴を楽しんでいる人たちを多く見かけます。

ちょっとしたスナックを買って、コーヒーやお茶、またはビールやワインなどを飲みながらアウトドアで寛ぐ。ただそれだけのことですが、これもまさにヒュッゲです。私も自転車で地元民の友人たちと街を散策した後、道端の石段に座って休憩しました。自転車を止めて道端に座って飲み物を飲んでおやつを食べるなんて、中学生のとき以来やったことがない!と思いましたが、皆がのびのびとそんな風に休憩していて、美しく清潔な街並みの中では、それもなんとなく絵になる光景。

友人と会うときはカフェやレストランでランチ、またはちょっと気合を入れて自宅でおもてなし、と考えてしまう文化の中に住んでいる自分ですが、着飾らずにくつろぐこんなスタイルはいいなと素直に思いました。

そして、イギリス人の友人もそうですが、北欧人は秋から春が来るまでの長い期間、日照時間がとても短いため、夏の間はできるだけ外で過ごそうとする傾向があります。お日様に対するありがたみとアウトドアの時間を愛する気持ちは熱く、日が暮れてきて肌寒くなってきても、まだ外にいたがる地元の人たちです。

コペンハーゲンは町全体の時間の流れがゆったりしていて、いるだけで癒される、そんな気がしました。

働き方とライフスタイル

地元の人たちは、社会保障がしっかりしている分、税金が高くお給料の半分近くを税金に持って行かれてしまうとのことですが、その分医療費が無料だったり教育費が無料または負担が軽減されているそうで、学ぶことが好きであればずっと学校に通ったりコースを受け続けることができるということ。

残業も少なく、仕事のオンとオフが割としっかりしているようです。聞けば職場での休憩時間がとても長かったりするので、一体どうやって会社・社会は回っているのか?と日本人としては謎に感じてしまいます。でも、イギリスで行われた最近の働き方リサーチによると、一般の会社員が1日の中で高い集中力と生産性を持って働けているのは実はわずか3時間弱ほどだそうで、それ以外の勤務時間は、生産性が下がっているのに職場にいなければならず、長時間労働は結局は会社にとってそんなだけでなく、人々にストレスと不健康をもたらすため無駄が多い、という見解があるようです。

たとえば、デンマークと並んで幸福度トップランキングのスウェーデンでは6時間労働を推奨していますが、その6時間のうちでも「フィーカ」と呼ばれるスウェーデン文化独特のおやつ休憩時間が1日に2度あり、さらにはランチタイムもあるため、実際に仕事しているのは3、4時間程度だと言われています。

もちろんその分、メールや電話の返答や仕事上の対応スピードが日本に比べると遅かったりするわけなのですが、サービスや業務のスピードに対する人々の期待値も日本に比べると低いと言えるので、時間はゆったりと流れ、あくせくしない分、ストレスも低いということなのでしょう。

個人レベルでゆったりと

国民幸福度が高いデンマーク。でももちろん、長い冬には鬱になる人もいるそうですし、税金も物価もヨーロッパトップクラスの高さで、いいことばかりではありません。また飲酒は16歳から可能と、人生の早い段階で自分に責任を取ることを学ばされたりする面もあります。(そしてものすごく飲む民族です!)

そして、食文化が洗練されてきたのもこの数十年のこと。レストランNomaから始まった新鮮な野菜と果物、シーフードなどの、デンマーク本来の食を改めて見直すムーブメントは一気に広がりました。実はピザやパスタを食べ始めたはなんと80年代ということで、それまでは割と野暮ったいポテト系&お肉のお食事をしていたそうです。有名なオープンサンドイッチ、スモーブローも、ここ最近見直されて現在のように進化してきたとのことでした。

ヒュッゲの本を読んで以来憧れていたデンマークですが、訪ねてみて、地元の人たちを触れ合って、やはり本当に全体的にゆったりした場所なのだと感じました。

これからもっと個人レベルでヒュッゲを取り入れるために、飾らないシンプルなライフスタイルを実践することや、自然の中で過ごす時間をもっと増やすこと、無駄を減らして身軽な生活をすることなど、まだまだできることが色々あるなと感じます。

そして何よりも、無理をしすぎないこと。

ゆったりした気持ちを持って自分を大切にする生き方を、もっともっと自信を持って育てていきたいと、元気をもらいました。

Hygge 365日「シンプルな幸せ」のつくり方 

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